第235回 うしろめたさの人類学/松村圭一郎

あけましておめでとうございます。
タスキー株式会社の大学です。本年もよろしくお願い致します。
さて、今回紹介するのは松村圭一郎著「うしろめたさの人類学」です。

本著は、エチオピアをフィールドワークの調査地とする構築人類学者の松村氏が、現地と日本を行来した実体験をもとに、ミクロな違和感を出発点として、国家、市場といった大きなシステムまで分析していく一冊です。
 20代の頃、10か月ほど初めてのエチオピア生活を送った著者は、帰国後、何もかもがスムーズに進む日本に違和感を抱いたと言います。

筆者は、日本では「交換」のモードが浸透していると述べます。交換は厄介ごとやストレスを回避しますが、従業員さえも「記号化」し、同時に感情が入る余地も取り除いてしまします。
一方のエチオピアでは、「贈与」の関係にあふれていると述べます。物乞いに対して何も渡さない日本人が多いのに対し、当然のようにポケットから小銭を渡す現地の人々の姿が対照的に描かれます。
「交換」のモードはコミュニケーションの基盤である共感を抑え込む力があります。格差によって生じるうしろめたさを交換のモードが覆い隠してしまいますが、それをすり抜けた先に社会を再構築する可能性があると筆者は指摘します。
あらゆる分断が起きている現代社会では「贈与」をもって他者と向き合い、いろんな「つながり」を回復することが必要だと筆者は述べています。

 普遍的なものとして捉えられがちな国家や市場のように巨大なシステムも、今まで見えていなかった不均衡に気が付けば、自分ができることを考えるきっかけになると言います。うしろめたさはそのためのカギになると筆者は述べます。

 本書は自分が今いる社会を別の角度から見る視点を与えてくれます。国家のように大きなものでなくても、個々人が属する身近な社会を生きるヒントを得られるのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

タスキー株式会社 大学 佳太朗

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