こんにちは!タスキー株式会社の上野です。
本日ご紹介するのは、『弱いつながり(東浩紀著)』です。
本書のテーマはズバリ、「旅に出よう!」です。
何故か。それは私たちが毎日のように使っているインターネットが、私たちの好きなもの、知っていることを固定化させてしまうメディアだからです。
「好きものは好きなままでいい!」という意見もあるかと思いますが、一方で今はまだ知らないけど好きになれるものや、もっと自分が興味の持てるものを見つけるきっかけが少なくなっていると考えたらどうでしょうか?
例えば、みなさんはAmazonで「あなたにオススメ」というページをご覧になったことはあるでしょうか?過去の購入履歴から、利用者が欲しそうなものをレコメンドしてくれる機能です。商品を探さずとも欲しい商品が見つかるという点では便利な機能ですが、当然これまで買ったものと無関係な商品は提案してくれません。自分でも気づいていないけど、使ってみるとハマってしまうものがあっても、レコメンド機能は提案してくれないのです。つまり毎日のように触れるインターネットでは、私たちが今好きなものをもっと好きにさせてくれることがあっても、そこから抜け出すきっかけを与えてくれないという意味で固定化しやすいメディアなのです。
そんな固定化しやすい環境から抜け出すため、新しいきっかけを作るために、著書は「旅にでよう!」という提案をしています。旅をすると新しい言葉に出会い、旅に出る前には持ち合わせていなかった検索ワードで検索をするようになります。すると固定化された環境を少しだけ変化させることができるのです。
福島原発事故の風化を防ぐための取組をしている著書は、参考文献としてチェルノブイリの事故について調べていました。そのとき自分の中にある検索ワードを絶えず増やし続ける必要性を実感したそうです。著書や著書のチームメンバーがネットで調べたところ、「チェルノブイリの観光客の推移」のような基礎資料も見つかりませんでした。しかし当時イベントで知り合ったロシア演劇の研究者に聞いてみたところ、その場でパソコンで調べて、「ここに書いてあるよ」と教えてくれたそうです。日本語のカタカナや英語のアルファベットで調べても全く出てこなかった情報が、ロシア語のキリル文字で検索するとすぐに出てきました。それもロシア語のWikipediaに載っていました。
ネットで検索して調べたいものが見つからないとき、「欲しいものはこの世にないんだ」と思ってしまうことがあります。
しかし実際は、どこかには存在しているけれども検索ワードが悪いせいで見つけられないだけかもしれません。
旅に出ることで新しい検索ワードに触れ、知らない世界に出会うことができたり、新しいきっかけを見つけられたりするかもしれませんね。
自分が想像している以上に世界は広いのかもしれないと想像力を膨らませられる本でした。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
タスキー株式会社 上野鎮
参照:弱いつながり/東 浩紀