第273回 部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書/出口 治明

皆さまこんにちは!タスキー株式会社の工藤でございます。

今回ご紹介するのは「部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書~プレーイング・マネージャーになってはいけない~」という本です。
本書は、ライフネット生命株式会社の創業者である出口治明氏の著書です。

組織で仕事を行う際には、仕事を指示する側(マネージャーやリーダー)と仕事を受ける側(担当者)が存在していますが、マネージャーやリーダーの立場にある人々が仕事を指示する際に重要な観点について書かれています。
さらに、仕事を指示する際にも異なるアプローチが存在し、単に仕事を投げるだけでなく、適切に仕事を委任することが求められている事について説明しています。

仕事の振り方についての説明として「仕事を任せる」と「仕事を丸投げする」とでは全く異なるアプローチであることが書かれています。

  • 仕事を任せる:指示が明確。権限の範囲が明確。「貴方にはこういう権限を与えるので、こういう結果を出してほしい」
  • 仕事を丸投げ:指示かあいまい。「何でもいいから適当にやっておいてくれ」

どちらも仕事を振っていることに変わりはありませんが、仕事の結果=成果(仕事の質や部下の成長)に大きな差が出るのは明らかではないでしょうか。

では、仕事を任せるという事はどういうことか。
仕事を任せるということは、「指示を明確にし権限の範囲も明確にする」ことが必要であり、その際には以下の4つのことを重視すべきだと著者は指摘しています。

  1. 「期限」:いつまでに行うものなのか。
    期限を設定することで、担当者は仕事の優先度やスケジュールを適切に調整できます。また、期限が設定されることで、プロジェクト全体の進捗状況を把握しやすくなります。
  2. 「優先順位」: 何を優先すべきなのか。
    仕事を任せる側は、どの仕事が最も重要であるか、またどの仕事が他の仕事よりも優先されるべきかを示す必要があります。これにより、リソースや時間を最適に活用できます。
  3. 「目的・背景」: なぜこの仕事が必要なのか。
    仕事の背景や目的を理解することで、担当者はタスクを遂行する際により良い判断を下すことができます。また、目的を理解することで、自分の仕事がどのように全体の目標に貢献するかを把握しやすくなります。
  4. 「レベル」: どのような質を求めるのか。
    担当者は仕事をどの程度のクオリティで達成するべきかを把握し、適切な努力やリソースを投入することができます。クオリティの基準が明確であれば、担当者は適切な判断を下しやすくなります。

上記4点を明確に伝えないとどうなるか…マネージャーが仕事を指示したつもりでも、担当者は仕事の範囲や重要性を適切に理解せず、業務の遂行が難しくなり、結果として「丸投げされた」と感じてしまうことがあるかもしれません。
このような場合、仕事はスムーズに進まず、期待通りの成果も得られない可能性が高まります。したがって、明確な指示と情報共有を行うことは、仕事をうまく進めるために欠かせない要素だと思います。

さらに、仕事を任せられず自分で抱える人の特徴として以下の3つの事を指摘しています。

  1. 能力や時間の有限性を理解していない
    どれほど優秀な人でも、せいぜい「2~3人分の仕事」しかこなせない。自分の能力の限界がわかっていれば、一人で抱えたりせずに「誰かに任せよう」「協力してもらおう」と考えるはず。
  2. 部下の仕事が「60点」では納得できない
    自分だったら80点以上の仕事が出来るのに、部下に任せると60点しか取れないので自分でやった方がいいと考える。
    能力・時間・資源が無限にあるのであれば100点を目指しても良いが、これらは有限である。
    限りがあるため完璧を求めず、全員が60点であることを確認し、次は5点、10点プラスを目指していくことが重要。
  3. 判断のスピードが遅い
    信頼が無いと仕事を任せるという選択肢が後回しになり、「自分でやった方が良い仕事が」出来ると考えるが、時間が足りなくなり焦りだす。
    慌てて部下に任せるものの、結果的には60点にも及ばない状況に陥ってしまう。

これらの特徴に注意し、自身の限界や他人との協力の重要性を理解することで、効果的な仕事の分担やチームの成果向上が可能になると思います。
仕事を任せられる側(担当者側)のメリットとしては、存在価値が認められ、やる気が出る、成長する(視野が広がる)、責任感が身につくことが期待できるため、「仕事を任せる」事は部下の成長にも効果があるのではないでしょうか。

今回は仕事の任せ方と仕事を自分で抱える人の特徴について抜粋しましたが、いかがでしたでしょうか?部下や後輩に「仕事を任せて」いますか?「自分でやった方が早い」と仕事を抱え込んでいませんか?
この本はマネージャーやリーダーにとって実践的で役立つものであり、チーム全体のパフォーマンスを向上させる手助けとなると思います。
また、マネージャーだけでなく担当者の視点からも仕事に取り組む方法を学べる貴重な一冊ですので、もし気になった方がいらっしゃれば、ぜひ手に取って一読していただき、新たな視点やスキルを習得していただければ幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

タスキー株式会社
業務改善支援室 工藤俊介

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工藤俊介

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