第303回 君はなぜ働くのか/永松 茂久

こんにちは。
タスキー税理士法人の鈴木です。

今回ご紹介させていただく今読みたい本は「君はなぜ働くのか」です。
帯に「やりたいことがわからない?良かったじゃないか。」という言葉が書かれおり、この言葉の真意が無性に気になり、即購入していました。
この一言になぜ興味を持ったのか、それは今の自分自身が正にやりたいことがわからない状態にあるからです。

やりたいことが明確に定まっていれば、そこから逆算して今自分は何をすべきなのか、という行動に落とし込むことができますが、それを明確に描けていない自分にとっては、やりたいことに向かって今何をすれば良いのか、ということを考えることが難しいです。
そのため、個人目標を立てるということが苦手です。
もしかしたら、そんな自分の意識を変えられるような内容であったらいいなと思い、手に取った次第です。

本の内容は著者の永松茂久さんが師匠と呼んでいる方と仕事論について対話をして、その際の内容をまとめたものです。帯に書いてある言葉というのも、この師匠が発した言葉でした。
本書はこのような前書きからはじまります。
『まえがき―「やりたいことがわからない」と無駄に焦ってはいないか?
 「あなたには夢がありますか?」もし、今、そう聞かれたらあなたは何と答えるだろう?この本はそう聞かれることに対して明確な答えを返すことができない人、もしくは、この質問をされることに抵抗がある人のために書いた。「明確な夢を持ち、具体的な計画を立て、一歩一歩クリアしていけば、必ず実現する」世の中には、この考え方がたった一つの正論のように浸透していて、それしか成功する方法はないかのように、多くの人が思い込んでいる。しかし、初めに断言する。方法はこの一つだけではない。たとえ今、明確な夢ややりたいことを持っていなかったとしても、あなたが今想像している未来をはるかに超える現実を手に入れる方法は存在する。 ~中略~ 世間一般に流れ漂う夢神話から、あなたを解き放つこと。この本の目的は、この一点だけだ。』
まさに自分自身のことを指しているような内容に、まえがきから引き込まれていきました。

この本の中で良いなと思った考え方がいくつかあるのですが、「やりたいことがわからない?良かったじゃないか。」この言葉がどういった経緯から発せられたもので、どういった意味を持っているのか、それを紹介させていただきます。

この言葉のきっかけは、師匠が著者に投げかけた1つの質問です。
「君はここからどうなりたい?明確な夢とか、やりたいことはあるかい?」
この問いに対し、「夢とかやりたいことが良く分からないんです…」と著者は答えます。
それに対し師匠が「やりたいことがわからない?良かったじゃないか。それなら、ここから何だってできるぞ」と嬉しそうな表情で返したことに、この時点でその意味が著者には全く理解できなかったそうです。
なぜやりたいことがわからないのが「良かった」なのかと尋ねると、師匠はこう続けて答えます。
「私たちは働く人間だよね。」
「あのね、この夢ってものが特に必要なのは、例えばスポーツ選手などの勝ち負けや順位が常に目の前にある人たちなんだよ。でも、私たちのような普通の仕事をする人って、毎日誰かと戦っているわけじゃないし、毎日がコンテストじゃないよね」
「それよりも来てくれたお客さんの接客をしたり、事務処理をしないといけなかったり、スタッフたちの給料のことを考えたり、部下と話したり、会議したり、いろんなことがあるよね」
「だから大切なのは、遠い未来のことより、今、目の前にある課題をいかにクリアしていくかなんだよ。」
「もちろん、遠い未来の夢とか、ビジョンをもつのは楽しいことかもしれない。でも、それよりも仕事において大切なのは、『今、ここ、目の前』なんだよ。そもそも人間の脳は一つしか集中できないようにできてる。ということは、本気で仕事に向き合っていたら、そんなに夢ばかり語っている暇ってないんだよ」
と言った後に、こんな言葉を発して次の話に移ります。
「仕事においては、夢ややりたいことなんて、そんな真剣に探さなくても大丈夫。ただ…人が働き続けていく上で、実はもっと大切なものがある」

上記の話の続きで、師匠は「5W1H」を出してきて、働く上で夢よりも大切なものとして、「Why:なぜ」を挙げています。
「優秀な先生や経営者、各部署のリーダーってね、自分が意識しているかどうかは別として、みんな「なぜ」を一番に伝え、一番に考えさせているんだ。だから、下の立場の人間が命令されることなく、自発的に動くんだよ」という言葉に続けて、「なぜ」の対に何があるのかを筆者に問いかけます。
師匠の答えは「意味」でした。「人間が根源で求めている一番大きなもの、それは意味なんだよ。『なぜそれをやるのか?』人はこの問いに対してみんな無意識に意味を求めているんだよ」「人って夢をなくしても生きてはいけるんだよ。でも、自分の存在意義、つまり、生きる意味をなくしちゃうと、自分の命を絶ってしまうことだってある。人間にとって意味ってのは、それぐらい強烈なものなんだよ」

この意味を追求するための「なぜ」という思考が、この本のタイトル「君は”なぜ”働くのか」にも繋がってきます。

今回の今読みたい本の紹介は本文の引用を多くさせていただきました。自分の言葉でまとめてお伝えすることもできたと思いますが、個人的に著者と師匠のやりとり、師匠の言葉に心揺さぶられるものがあり、あえてそのまま書かせていただきました。
上記で書いた内容は、全5章立ての内の第1章の冒頭の方です。
この後には、第2章「働く意味の見つけ方」や第4章「仕事がうまくいく人のルール」
そして最終章「君はなぜ働くのか」と続いていきます。

この師匠と呼ばれている人がいったい誰なのかということですが、日本の納税王と呼ばれる斎藤一人さんです。本書では最初から最後の方まで、名前が出されず「師匠」とだけ書かれて話が進んでいきます。筆者の意図として、その存在が大きすぎること、そしてまずは一人師匠の名前ではなく、教えそのものを一番に届けたいとの思いがあったそうです。筆者に習い自分も最後の方で師匠が誰なのかというのを書かせていただきました。

自己成長のためには目標を定めて努力することも大切ではありますが、やりたいことがわからないなりに、今、目の前の仕事を一生懸命にできる限り完璧にこなそうとする姿勢が大事であることを、本書を通して学びました。
人生における働く意味をとは何かを考えさせられる本でしたので、自分のように明確に今やりたいことがわからない人に限らず、興味を持っていただいた方は本書をお手に取られてみてはいかがでしょうか。


タスキー税理士法人
鈴木克成

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鈴木 克成

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