第304回 代々初代/青谷洋治

こんにちは。タスキー税理士法人の青谷麻容子です。

 ついこの間、仕事始めだったはずなのですが、もう1月が終わるそうです。この勢いで繁忙期を駆け抜け、気付けば春が過ぎ去り、梅雨になっていそうな予感がします。
 
 さて、今回ご紹介する本は、『代々初代』(致知出版社)です。
著者は、北関東を中心に80店舗以上のレストランを展開している、株式会社坂東太郎の創業者、代表取締役会長の青谷洋治氏です。
坂東太郎グループは、今年創業49年、売上100億の企業となりましたが、その道のりは
決して順風満帆だったわけではなく、「当たり前のことを真剣に、小さいことを丁寧にやる」ということを49年間続けてきたことの積み重ねなのだと感じます。

青谷氏の父親は、戦争中に心臓弁膜症を患い、農家の力仕事ができなくなったため、青谷氏が小学校低学年頃には、すでに仕事を手伝っていました。夜が明けきっていない時刻に起きて、父親の代わりに重い堆肥をリヤカーに積んで畑まで運ぶ。寒い冬は吐く息が真っ白になり、畑仕事をしてから小学校に通う日々です。でも辛いと思ったことは一度もなかったそうです。そうしないと家族が食べていけなかったから、あれこれ考える前に、四人兄弟の長男である自分がとにかく働かなくてはならなかったのです。

しかし、中学卒業前に、病気がちだった母親が亡くなります。体の弱い父の代わりに自分が兄弟を食べさせていかなくてはと、高校進学を断念した青谷氏は、中学卒業後、家業の農業に専念します。なんとか妹を高校進学させ、弟も就職させることができましたが、その一方で、小学校の卒業文集に「社長になりたい」と書いた夢を諦めるしかないのだと、暗い気持ちになっていたそうです。

そんな中、20歳の頃、転機が訪れます。隣町に新しく蕎麦屋がオープンし、アルバイトを募集しているという話を聞いたのです。昼間は農業ですが、夜なら兼業できると思い、飲食業に飛び込みました。朝の暗いうちから畑仕事を始めて、蕎麦屋の仕事が終わって帰って寝るのは夜中の12時過ぎ。睡眠時間は3,4時間という生活を8か月続けたある日、過労で倒れてしまいます。目を覚ました時に、2年前に「学校の先生になりなさい」と送り出した妹がいました。見舞に来たのかと思っていたら、兄が倒れたのを聞いて、学校に退学届を出して家に戻ってきたのでした。「私が農家をやる。お兄ちゃんはお蕎麦屋さんの仕事をしっかりやって一日でも早く独立して。そうじゃないと家庭が壊れちゃうよ。」
みんなの前では泣くのを我慢していたものの、一人になった時に大泣きしたそうです。母親が亡くなった時、自分が一家を背負う覚悟をしていたのに、妹の夢を奪ってしまったのが辛くて悔しかったのです。そこから人が10年でやるところを3年でやろうと誓い、仕事に没頭します。そして、24歳の時にのれん分けしていただき独立することができたのです。

しかし、のれん分けが許されたからと言って、すぐにうまくいくわけはなく、店をオープンするのに700万円も足りません。銀行に融資のお願いをしに日参し、門前払いをされながらも諦めず通い詰めます。5回目に初めて「事業計画書を持ってきてください」と言われます。それが何かも分からない中、自分なりの事業計画書を持って行っては断られ、ようやく11回目に融資がおりたのです。これが、今に至る坂東太郎の第一歩となりました。

1975年、妻と弟と三人でスタートした小さな蕎麦屋は、11年後に「株式会社坂東太郎」という和食レストランを運営する会社となり、現在は、茨城・栃木・千葉・埼玉・群馬で直営店80店舗以上、従業員も2500人以上の会社に成長し続けています。

その間、労務倒産の危機、片腕の死去、東日本大震災と様々な困難を乗り越えながら、現在は日本一の「幸せ創造企業」を目指し、挑戦を続けています。
坂東太郎は規模の大きさでなく、働く人の幸せの大きさを、会社の大きさと考え、「幸せ」と感じてくれる働く人の数の多さが、日本一であることを目指しています。

著者の青谷洋治氏は、私にとっては義理の父ではありますが、坂東太郎の創業者、会長としてしか見ていないのが実際のところです。なぜなら、家族が集まっても、プライベートの会話というものはほとんどなく、土日もスーツを着て、朝早くから仕事に出かけるので、父を感じる暇はないのです。まさに、寝ても覚めても仕事のことを考え続けています。
それは、仕事が好きだからとか、経営者だからしょうがない、ということではなく、一人でも従業員を採用したら、経営者はその人の人生に責任を持たなければならないという覚悟を持っているからです。人をお預かりするということは、その人の命の時間を使うこと。人を雇うということは経営者にとって非常に重いことなのだと言います。常に社員のこと、お店のこと、取引先のこと、地域のことを考え、何事にもいつも真剣で本気です。

青谷会長が自分のことを話すことはほとんどないので、本書で初めて知ったことも多々ありましたが、そのDNAは確実に受け継がれていると感じました。

もうすぐ節分をすぎれば立春で、暦の上では春が始まりますね。
またまだ寒さは続きますが、皆様どうぞ健やかにお過ごしください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

タスキー税理士法人 公認会計士 青谷麻容子

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