こんにちは。 タスキー税理士法人の青谷麻容子です。 連日の暑さで溶けそうですが、ここ仙台でも寝苦しい夜が続いております。 5月に初めて、一関市の金山棚田に田植えをしてきた身としては、あまりに早い梅雨明けに、苗の発育が気がかりで仕方ありません。皆様お住まいの地域はいかがでしょうか。 今回ご紹介する本は、アマゾン・ジャパンの立ち上げメンバーとして15年間にわたり在籍し、その飛躍的成長に携わった元幹部の佐藤将之氏の『アマゾンのすごいルール』です。 「アマゾン(Amazon)をアマゾンたらしめている『ルール』は何か?」と聞かれたら、「Customers Rule!(お客様が決めるんだ!)」この一行に集約されている。と佐藤氏は答えるそうです。 次々に革新的なサービスを生み出し、世界をリードし続けるアマゾンに対し、それを脅威に感じる者たちからは「黒船」「破壊者」といった表現を使われることがあります。 しかし、内部にいた佐藤氏から見れば、その見方はアマゾンの本質を見誤っていると言います。 佐藤氏曰く、アマゾンの考え方は実にシンプルで、「Customers Rule!」という大原則に基づいて、「お客様のために何ができるか?」を考え、シンプルに事業を推進しているだけ。端的に言えば、非常に愚直な会社だと。 ただし、時間軸、スピード感、スケール感は他の企業と少し違う。 普段我々が想像する未来よりも、ずっと遠くの未来を見ているだけ。 普段我々が考えるスピードよりも、更に速いスピードを求めているだけ。 普段我々が想像する距離や空間よりも、はるかに広い範囲で物事をイメージしているだけ。ただ、それだけだと。 「やがてそうなるだろう世界」「そうなってほしいと人々が潜在的に願っている世界」の実現を、アイデアとテクノロジーでサポートしている。といった感覚だそうです。 アマゾンの従業員たちは、そんなアマゾンの実現したい未来に共感し、入社してきます。 そして、この会社で働く喜びと誇りを感じ、「アマゾニアン」と自称します。 世界各国に拠点を持つ巨大な組織でありながら、世界中のアマゾニアン一人ひとりが、「お客様のために何ができるか?」という視点で、シンプルに物事を考え、実行していく。なぜ、一人ひとりがそのような自律的行動ができるのか? それは、アマゾニアンをアマゾニアンたらしめる独自の「基本ルール」、すなわち考え方や仕組みが存在しているからです。 基本理念の浸透、リーダーシップの概念、人材採用の方法、人事評価のしかた、目標達成や生産性向上の仕組み、アイデアを生み出す方式、コミュニケーションの基本的な考え方など、アマゾンには様々な「基本ルール」がありますが、素晴らしいのは、これらすべてが「Customers Rule!」からブレイクダウンされたものであることです。 これらの「基本ルール」については、本書を手に取っていただければと思います。 また、アマゾンという会社を説明する際に、よくこのような表現をするそうです。 「アマゾンは、F1を走らせながら修理して、しかもチューンナップする会社です」と。 F1のレーシングカーは時速300kmで走ってますが、タイヤの付け替えなどはピットで停止してから行います。ところが、アマゾンでは、修理もチューンナップも「走りながら行います」。更にアマゾンというF1の最高時速は300kmのまま一定ではなく、年を重ねるごとに400Km、500km/時と加速していると言います。 この人類最速と言える事業スピードは、何によって生み出されているのでしょうか。 大きなカギは「メトリックス」の存在です。これはアマゾンの強さの秘密の一つですが、「メトリックス=数字」を細部まで徹底管理し、PCDAを高速回転させているのです。 アマゾンでは、アマゾンのすべての行動を「数字=メトリックス」で管理する体系が出来上がっており、世界中のどの現場の人間も、今週の目標を「数字で」理解しているのです。 最後に創業者のジェフ・ベゾスが、繰り返し伝えてきた言葉をご紹介します。 2000年頃、アマゾンの株価が大幅に下落したにも関わらず、ベゾスは設備投資の動きを緩めるどころか加速していきました。そのため、赤字が膨らみ、「アマゾンはまもなくつぶれる」「アマゾンの経営手段はおかしい」と叩かれました。 当時のことを振り返り、ベゾスは社員にこんなふうによく語りかけていたそうです。 「今、未来のために種を植えなかったらこの花はいつか枯れてしまうよ。だから、今日もイノベーティブな種を植えよう。未来に花を咲かせるためにね。たとえ、今は誤解されるようなことであったとしても。」 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。 タスキー税理士法人 公認会計士 青谷麻容子 参照:アマゾンのすごいルール/佐藤将之