こんにちは! タスキー税理士法人の佐藤美友です。 白露を越え、最近までの寝苦しさが嘘のように、朝晩と冷え込むようになりました。 照りつける日差しが少しずつ秋のおだやかなそれに変わり、読書の秋・芸術の秋・食欲の秋、 楽しむにはもってこいですね。 皆さんの「読書の秋」のスパイスになれたらと願いつつ、今回ご紹介させていただきますのはこちら! 『お金のむこうに人がいる -元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた予備知識のいらない経済新入門-』 著・田内 学 ――――――――――― ある朝、宅急便が到着したようで、インターフォンが鳴った。 布団から出るのが億劫で、「再配達はタダだし、あとでまた来てもらえばいいや」と居留守を使ってしまった。 わたしの財布からお金は出ていかない。 しかし、財布の外側にいる配達員の労働は浪費されてしまった。 ――――――――――― 第1部、「労働が『もったいない』」という一節の冒頭の内容です。 筆者はこの節で、以下のように述べました。 「技術革新などの生産の効率化によって僕たちが受けている恩恵は、材料費や原価が安くなることではなく、『労働が節約できること』だ」 「『労働がもったいない』と思わないと、自分たちを苦しめることになる。僕たちは自分の労働を提供してお金をもらい、そのお金を使って誰かの労働を消費している」 働き方改革が叫ばれる昨今において、労働者である私たちを苦しめているのは、消費者である私たちなのではないか。 モノやサービスが手元に届くまでに消費したものをお金ではなく、消費した誰かの労働として想像してみると、見えてくるものがあります。 この節はもちろんのこと、身近なようで遠くに感じる経済の問題について、本書はとてもわかりやすく書かれていました。 お金への過信を打ち砕く第1部。 お金ではなく「人」を中心に据え、経済をゼロから考え直していく第2部。 社会全体について考える第3部。 最初から最後まで、一貫して難しい言葉は出てきません。 経済だけに限ったことではないですが、現代社会で叫ばれるありとあらゆる問題は、難しい専門用語で語られていることがしばしばです。 途端に興味が薄まり、それ以上思考は深まらず、蚊帳の外にいるような心地を味わったことはないでしょうか。私はたくさんあります。 難しい言葉でごまかすことなく、経済を考えるスタートラインに立たせてくれる、素敵な本だと思いました。 詳しくご紹介したのは第1部でしたが、問題の本質は第3部の中で見えてきます。 「社会全体の問題はお金で解決できない」 第3部のタイトルの意味を、渦中のひとりとして考えなければと思いました。 老若男女問わず、お読みいただきたい一冊です。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。 タスキー税理士法人 佐藤 美友 参照:お金のむこうに人がいる/田内 学