本日もご覧いただきありがとうございます。
タスキー株式会社、学生インターンの髙橋です!
今回紹介させていただくのは、こちらの一冊です。
「共に働くことの意味を問い直す-職場の現象学入門-」
・ちょっとしたコミュニケーションが不足し、見えないところでミスが起こった。
・効率性を重視しあらゆるムダを省いたが、なんだか組織が無機質になったように感じる。
・文字情報だけでのやり取りは、真意を理解するのが難しい。
コロナ禍でリモートワークやオンライン会議が日常化し、今まで無かった職場の悩みが増えました。
リモートワークのおかげで通勤時間が減り、効率的に仕事をすることが可能となりました。
しかしながら、人と直接出会うことから生まれる「何か」があることも事実です。
人と人との関係性から生まれる本質的な価値はどんなものか。
出会いを生み出すことを組織の文化としてどう根付かせていくか。
本書ではこのような問いを、現象学の視点で捉え、考えている本となっています。
現象学とは、私たちが普段感じていることや考えていることが
「どのようにできあがって、どのように働いているのか」を考える哲学です。
この哲学の基盤は、人は五感をフルに使って常にあらゆることを感じとっている、という点です。
普段私たちは言葉を使ってコミュニケーションをとっていますが、言葉以外にも
・会議の張り詰めた空気に緊張してしまった
・○○さんの顔を見たら、穏やかな気持ちになった
というような、言葉になっていない空気感からも沢山の情報を受信しています。
このことを「情動的コミュニケーション」と呼んでおり、私たちは言語的コミュニケーションよりも、情動的コミュニケーションから得られる情報を重視する傾向にあるそうです。
だから、言語や論理だけでない「感覚」を認め、それがどのようにできあがるかを解明していく現象学を学ぶことは、人と人との関係性を見直すきっかけになると筆者は述べています。
そして、現象学を活用して著者が目指すのは、「創造的な職場づくり」です。
ムリ・ムラ・ムダを排除して組織を運営し、生産性を高めることはもちろん大事です。
けれども、様々な人との関わりや相互作用といった、短期的にはなかなか成果がでないものにこそ創造性の種は潜んでいます。
生産性を高めることだけが目的とならないよう、
自分たちの組織がどういう価値を顧客に提供したいのか、
そのためにどのような職場づくりがいいのかという視点から組織を見直し、
創造性の芽が多くある職場をデザインすることが、長期的に成果を出すためのポイントであると指摘しています。
本書を読んで、現象学という哲学領域と、働くこととが密に結びついていることに驚きました。
本書は、これをやれば組織が良くなる!という分かりやすいノウハウ本ではありませんが、今まで持っていなかった視点を持ち、自分のいる場に適した答えを見つけるヒントとなりそうだと感じました。
現象学についてもう少しだけ詳しく知ってみたいと思った方、
職場の捉え方を変えてみたいと思った方、
ぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。
タスキー株式会社 髙橋俊英