こんにちは。
タスキー税理士法人の青谷麻容子です。
立夏が過ぎ、暦の上では夏が始まり、仙台も新緑が美しい季節を迎えております。皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか。
さて、今回ご紹介する本は、アンカー・ジャパンの代表取締役CEOの猿渡歩さんの初めての著書『1位思考』です。
アンカー・ジャパンは、2013年1月、何もない雑居ビルの1階で産声を上げ、その8年後の2021年には売上300億円を達成。今やモバイルバッテリーや充電器などで国内シェア1位を獲得しています。
しかし、アンカー・ジャパンが進出したのは「3Low」(Low Passion=消極的な購買姿勢、Low Recurring Rate=低いリピート率、Low Average Selling Price=低い平均販売価格)といわれる極めて難しい市場でした。この「難しい選択」をしながら、なぜアンカー・ジャパンが勝ち続けているのか。その秘密が「1位思考」にあります。
後発でも逆転を可能にする思考法とは、どのようなものでしょうか。
著者の猿渡歩さんは、新卒でコンサルティング会社→プライベート・エクイティファンド→外資系メーカー(アンカー・ジャパン)と渡り歩き、その中で体当たりで身に付けていったのが「1位思考」です。
この、誰でも1位になれるシンプルな6つの習慣とは、以下の6つです。
- 全体最適の習慣
- バリューを出す習慣
- 学ぶ習慣
- 因数分解の習慣
- 1%にこだわる習慣
- サボる習慣
本書では、これらを一つずつ深堀しながら丁寧に教えて下さっていますが、ここでは、6つの習慣の根幹となる「全体最適の習慣」を簡単にご紹介します。
「全体最適の習慣」は、組織全員が「会社にとってベストな選択は何か?」を考える習慣で、著者が一番大切にしているものです。
個人よりもチーム、チームよりも会社全体を考えようと日頃からメンバーに伝えているそうです。なぜなら、自分や自分のチームさえよければいいという「部分最適」が広がると、組織は弱くなり、会社の成長は鈍化し、個人の成長も止まってしまうからです。
逆に、全体最適の習慣が身につくと、経営者の視座・視野・視点が手に入り、成長が加速すると仰っています。
たしかに、自分の目の前の仕事に集中するあまり、これが会社にとってベストな選択かという視点は、意識してないと忘れてしまうことがあります。そうすると、せっかく時間と労力を費やしたものの、会社全体から見ると、全体最適ではなかったり、会社の進むべき方向性とズレてしまったり、改善スピードが遅くなったりするということが生じてしまいます。
そうならないように、是非この思考は習慣化したいと思いました。
また、著者は、一人ひとりが全体最適を考えながら仕事をするには、組織のミッションとバリューへの共感が不可欠で、この共感こそが成果を上げるパッションに繋がる。と仰っています。
猿渡さんのモチベーションの源泉は、アンカーグループのミッション(=テクノロジーの力で人々のスマートな生活を後押しすること)への深い共感で、これを実現したいというパッションがあるから頑張ることができる。という部分に深く共感しながら読み進めておりました。
本書では「成果の公式」として、
成果=「インプット×思考回数×試行回数÷時間」×「ミッション×バリュー」と示されています。
個人だけで成果を出すには「インプット×思考回数×試行回数÷時間」で足りるかもしれない。しかし、チームとして、企業として大きな成果につなげるには、「ミッション×バリュー」がとても大切。それらを共有、共感、体現することで、思考や行動がミッション・バリューに沿ったものとなり、全体最適の意識を育むことができる。そうすることで成果を上げやすくなり、個人は成長する。
メンバーが力を発揮して会社が成長し、会社が成長することで、メンバーも力をつけていく。というループを圧倒的スピードをもって回転させている会社が1位になっていくのだと感じました。
ちなみに、私も、アンカーのワイヤレスイヤホンを使っています。他社製品と比べてコスパもよく、イヤホンの片方だけなくしたら(やりがち)、片方を無償ですぐに送ってくれるなど、サポートが充実していると知人が絶賛していたためです。
本書を読み、改めてアンカー・ジャパンの他の商品も手に取ってみたいと思いました。
それでは、風薫る5月、皆様どうぞ健やかにお過ごしください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
タスキー税理士法人 公認会計士 青谷麻容子
参照:1位思考/猿渡 歩