こんにちは。タスキー税理士法人の青谷麻容子です。
明日は夏至ですね。一年で最も昼が一番長く、夜が一番短い日。この日を過ぎると本格的な夏が始まり、気温が上がってくる時期です。昼が長いと、何となく一日が長く使えるような気がしてちょっぴり嬉しいです。
さて、今回ご紹介する本は、田坂広志氏の著書『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟』です。
田坂広志氏は原子力工学の工学博士でもあり、技術者でもあり、経営学者でもあり、世界経済フォーラム(ダボス会議)のメンバーやTEDカンファレンスを主催するTEDのメンバーを務めたりと、数えきれない肩書きと活躍のフィールドの幅広さに驚きます。
このように科学者で理系バリバリの方でありながら、なぜ本書の題名のような宗教的というか運命論的な考えに至ったのでしょうか。
子供の頃から科学技術に興味があり、工学部に進学した方なので、当然のことながら、神仏や「大いなる何か」など信じない唯物論的な世界観を持っていたようです。しかし、それから何十年もの人生において、不思議な体験を数えきれないほどして、「人生には、我々の人智では計り知れないことがある」と感じるようになってきたそうです。
では、「すべては導かれている」とはどういう意味でしょうか。
それは、我々の人生は、有り難い「順境」だけでなく、様々な「逆境」も含め、すべては大いなる何かに導かれている。
「幸運に見える出来事」だけでなく、「不運に見える出来事」も含め、すべては我々に良き人生を送らせるための大いなる何かの導きである。という意味です。
確かに、現代の最先端科学によっても、この「大いなる何か」の存在は証明できていません。しかし、人類の長い歴史を振り返ると、優れた先人たちは、神や仏、天、信念、信仰という形で、その存在を信じていた。そして、その「信じる」ことによって、自らの中に眠る力と叡智を引き出し、人間としての可能性を開花させ、逆境を乗り越え、人生を拓いてきた。
という事実は、数々の偉人伝や歴史小説を読めば満ち溢れています。
そして、その逆境において、「すべては導かれている」という覚悟を定めると、その瞬間から「三つの変化」が起こるそうです。
第一に、日々の仕事や生活において起こる出来事を見つめる時、その「意味」が全く違って見えてくる。つまり極めて肯定的に見えるようになってきて、人生の風景が変わる。
第二に、目の前に立ち塞がる逆境を見つめる時、その逆境に向き合う「勇気」「気魂」が湧き上がってくる。
第三に、目の前に立ち塞がる逆境を向き合う時、その逆境を越えるための「直観」が閃くようになり、その逆境を越えるための「運気」を引き寄せるようになる。
では、この「すべては導かれている」という覚悟をどのように定めればよいのか。本書では、その覚悟を定める方法として「五つの覚悟」を順に、心に定めていくことだと教えてくださっています。
第一の覚悟 自分の人生は、大いなる何かに導かれている
第二の覚悟 人生で起こること、すべて、深い意味がある
第三の覚悟 人生における問題、すべて、自分に原因がある
第四の覚悟 大いなる何かが、自分を育てようとしている
第五の覚悟 逆境を越える叡智は、すべて、与えられる
私も、以前、すべての出来事は「必要・必然・ベスト」と教えていただいたことがあります。これは、すべての出来事はすべてあなたにとって必要で必然で、そしてベストのタイミングで起きる。一瞬たりとも早からず遅からず。ということです。
そして、目の前に壁が立ちふさがるたびに、この言葉を胸に乗り越えてくることができた気がします。
人の命はいつ終わるか分かりません。ただし確実なことは100%死ぬということです。であるならば、目の前の不幸に嘆き、後悔と不安で今日という一日を過ごすより、与えられた今日という一日を精一杯生き切ろうと思うのです。
与えられたものに正対し、力を尽くしてその道を歩んでいくと、しばらくして暗闇の中に一寸の光が見えてくる時があります。
そのような体験を積んでいくと、確かに「自分の人生は、大いなる何かに導かれている」と言えるのかもしれません。
それでは、紫陽花が美しい季節、皆様どうぞ健やかにお過ごしください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
タスキー税理士法人 公認会計士 青谷麻容子