第318回 若者に辞められると困るので、強く言えません:マネジャーの心の負担を減らす11のルール/横山 信弘

みなさん、こんにちは!
HRソリューション事業部の齋藤です!

GWはどのように過ごされましたか?連休中日もお休みで、10連休!…と言う方もいらっしゃったのではないでしょうか。私は、断捨離するぞ~~!と意気込んだは良いものの、目標の7割程度の進捗となりました。笑

さて、今回ご紹介するのはこちら!
【若者に辞められると困るので、強く言えません: マネジャーの心の負担を減らす11のルール/著者:横山 信弘】

タイトルで食いつかれる方、多いのではないでしょうか?近年は、若者の価値観や伝え方、コミュニケーションの取り方に関する書籍が多く出版されています。

環境の変化もスピードも、多様化も著しい昨今。厳しい指導を受けてきた方にとっては、働き方改革やパワハラ防止法等の影響もあり、「自分の時は、こうだった」が通用しない時代となりました。加えて若手の人材不足。若手を採用したくても採用できない企業様も増えてきました。さらに、「職場がホワイトすぎて辞めたい」と成長できるかに不安を頂き、辞めてしまう若者もチラホラ…。

現場の皆さまは、「辞めそうだから強く言えないのもだめ。ブラックからホワイトにしてもだめ。」となれば、「結局どうすれば良いの?」「何が正解なの?」と、迷路ですよね…。

結論から言うと、「正解」はありません。
本書では、『価値観も、働き方も、コミュニケーション手段もあらゆるものが多様化し、成功の概念さえも「人それぞれ」。だからマネジャーは「人それぞれ」「ケースバイケース」を心に刻み、若者と接していくべきだ。』と、述べています。

ですが、自分なりの「それぞれ」を考えるにしても、まずはそのたたき台となる型や考え方、ベースを知ることはとても大切だと考えています。本書はそんな、「一歩目をどこから考えたら…?」という方にお勧めです。

早速本題にいきましょう!
著者はその切り口を、「バランス」としています。書籍の目次を紹介します。

私は、まずは本書の目次を読むだけでも、視野を広げ、どの観点から整理すれば良いのか、得るものがある気がします!

第1章 「優しさ」と「厳しさ」のバランスは?-「褒める」と「叱る」の基準とルール

第2章 「強制」と「主体性」のバランスは?-主体性に欠ける人への使いどころ

第3章 「スピード」と「完成度」のバランスは?-量をとるか、質をとるか、で悩んだ時の考え方

第4章 「教育」と「経験」のバランスは?-2種類の「気づき」が人を大きく成長させる!

第5章 「頑張る」と「力の抜く」のバランスは?-無理をさせるときと、させないときの見極め方

第6章 「励ます」と「スルーする」のバランスは?-部下が落ち込んでいるときに、どんな声をかけるべきか

第7章 「個人の成長」と「組織の利益」のバランスは?-責任・権利・義務の知っておくべき関係

第8章 「強みを伸ばす」と「弱みの克服」のバランスは?-本領発揮させる重要な2つのポイント

第9章 「チームワーク」と「競争意識」のバランスは?-チームの形態とストレスマネジメントを意識しよう!

第10章 「お金」と「やりがい」のバランスは?-何のために仕事をやるのか、と聞かれたら

第11章 「今までのやり方」と「新しいやり方」のバランスは?-流行もいいけれど、忘れてはいけないこと

いかがでしょうか?
この目次を呼んで、いやいや、そのあたりは分かっているよ。と思われるかもしれません。しかしながら、私たちは今まで「バランス」という観点で、どれほど真剣にマネジメントを考えてみたでしょうか。「何となく悩む」状態ではありませんでしたか?本書では、愚痴を言いたくなるマネジャーの「バランス感覚の欠如」に触れています。
私は、何度かハッとする瞬間がありました。

さて全11章のうち、私自身が多くの企業様とご一緒する中で特にバランスギャップが多く、共感!‥と感じた章を1つ、かいつまんでご紹介します。

それは第4章の「教育」と「経験」のバランス。

皆さん、「分からないなりにやってみて」や「とりあえず依頼」をしていませんか。「何事もまずは経験だ」といい、目的ややり方を丁寧に教えない。分からない中で仕事を進めるから、失敗しダメ出しされ、その後上司が仕事を教える。こんな「ダメ出し文化」「後出しジャンケン」のような指導となっていないでしょうか。
著者は【自分が苦労したからといって、部下にも同じ経験をさせる必要はない】と述べています。

上段の指導は「経験重視」の指導です。確かに、一つのやり方なのかもしれません。

育成の世界では「経験学習モデル」という言葉があります。(①実際に経験する→②多面的な視点から振り返る→③新しい考えや理論を作り上げる→④新しい考えや理論を試してみる…というもの)この理論、教育業界では非常に有名!

しかし、著者はなんと、この「経験重視」の姿勢はやめた方が良いと述べています。
では何を大事とするか?
まずは「前提」を揃え、初めから終わりまで明確に「見通せる」状態にすることです。それを踏まえて、新しい経験学習モデルのアップデートを提唱しています。

  1. 基礎教育を受ける(考えるための知識・視点)
  2. 見通しを立てる(経験が浅い時は上司と共同で)
  3. 具体的に経験する
  4. 振返って気付きを得る
  5. 新しく見通しを立てて試してみる

「見通し」とは、物事の進展や将来を予想することです。1・2が特徴的ですよね。これは3章で紹介されていますが、そもそも考える「切り口」を知らない若手に、自分で考えてやってみてと言われても考える手がかりが無い。「切り口」を得るには、知識と経験が不可欠です。その中で「とりあえず依頼」をすると、悩みを深めてしまうこと、失敗してダメ出し→自信喪失や、「とりあえずこなす」ことが目的になりがち。こうなると、負のサイクルです。

いかがでしょうか?実際ご支援する中で、上司の方が「俺はこれでやってきた」「だからこそ成長した」とおっしゃる方は、少なくありません。でももし、育成やマネジメントが上手くいっていないのであれば、「バランス」に着目してみるのも良いのではないでしょうか。

本書は、各章が端的にまとめられており、とても読みやすく、今感じている悩みに応じて、該当の章だけ読む…と言うのもありだと思います!勿論、全体を読むことで、点と点が繋がり、更に理解度と腹落ち感も高まると思います!どの章もそうそう、そこ聞きたかったのよ!という視点が盛りだくさん。関心を持たれた方は、是非手に取ってみてください!

最後に…。
個人的には、上司だけでなく、若手の皆さんにも読んで頂きたいと感じました。マネジメントは勿論、上司の仕事です。しかし、皆さんが悩んでいるように、上司も悩んでいる。上司だけが部下を理解し、寄り添うのではなく、部下も上司を理解し寄り添う姿勢も大切だと感じます。若手の皆さんも、いつかは中堅になり、部下を持ち、指導する機会がくるでしょう。上司は何に悩み、困っているのか。皆さんに、何を期待しているのか?に「触れてみる」だけでも皆さんの視野・思考の幅が広がり、中長期的にご自身の価値アップにつながるのではないでしょうか。
若手のうちは、目の前の仕事に最善を尽くすことが大事。でも、一つ上の視座で物事を見てみると、仕事はもっと楽しくなると感じています!

さて、今回は大変長文となりました。
ここまでお読みいただいた皆さま、有難うございます!
今後とも、どうぞよろしくお願いします!

HRソリューション事業部
プランナー 齋藤由貴

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齋藤由貴

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