第368回 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法/松村 圭一郎

こんにちは!タスキーグループ/税務支援チームの上野です。

今回ご紹介するのは、松村圭一郎氏の著書『はみだしの人類学』です。

本書は、私たちの身近な文化や社会を通して、そこに根付く価値観や仕組みを理解しようとする文化人類学の入門書です。文化人類学と聞いても、馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。本書にも触れられているように、大学では明確に「文化人類学部」という学部があるわけではなく、文学部や社会学部、さらには医学部や工学部など、特定の分野はなく様々な学部に分類されるようです。そんなどの分野にも当てはまる文化人類学は、どんな経歴、職種の方でも学びのある学問かもしれません。

本書の中で印象的だった考え方に「分人」があります。私たちは、無意識のうちに「自分はこういう性格だ」と思い込みがちですが、実際には、会社での自分、友人との自分、親との自分など、置かれた環境によって異なる顔を持っているのではないでしょうか。例えば、家庭では末っ子として甘えん坊な人が、部活動では頼れる先輩として後輩に慕われている、というケースがあったり、自分自身を振り返ってみても思い当たる方も多いのではないでしょうか。このように首尾一貫した「わたし」というより、さまざまな状況に応じて異なる「わたし」が引き出されるという捉え方が分人の考え方になります。

また私が本書を通して感じたのは、「他者を知ることは、自分自身を知ることにつながる」ということです。
最近は、「個性が大事だ」「自分らしく生きよう」といった言葉をよく耳にしますが、「わたし」という内面だけを見つめていても、本当の意味での個性や自分らしさにはたどり着けないのではないかと感じさせられます。私たちは、他者とのつながりのなかで生きており、他者との関係性の中でこそ、自分の輪郭がぼんやりと浮かび上がってくるのではないでしょうか。文化人類学は、そうした他者との関わりを通して、改めて自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれる学問なのかもしれません。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

タスキーグループ/税務支援チーム  上野 鎮

Share on facebook
Share on twitter
Share on linkedin
上野鎮

上野鎮

Leave a Replay

タスキー税理士法人ブログ

お客様に役立つ様々なテーマ、お知らせなど、スタッフが日々更新しています。

Recent Posts

Follow Us

アーカイブ