はじめまして!タスキーグループ税務支援チームの新妻です。
私が今回紹介する本は、脳科学者・中野信子さんの著書『脳の闇』です。
まず私が本を選ぶ際の基準を少しお話しできればと思います。本を選ぶ基準は、本の帯に書かれた言葉に興味をそそられるかどうかです。今回この本を手に取ったきっかけも、帯に「人間の厄介さを知っていますか。」というシンプルな一言に惹かれたからです。この一言を見た瞬間、これまでの自分の経験の中で遭遇してきた厄介ごとを思い出し、「もしかすると、あの厄介ごとにも脳の仕組みが関係していたのでは?」と興味がわき、読むことを決めました。
本書の中で印象に残っているのが「コミュニケーション力」についての記述です。日常生活の中でも頻?に耳にする言葉ですが、皆さんはこの力をどのように捉えているでしょうか?
中野さんは、コミュニケーション力を言語の運用能力であると述べています。そしてこの言語運用能力が欠けていると、たとえ語彙が豊富で文法が正しくても、会話そのものを楽しむことができないと述べています。
コミュニケーションは自分の意思を伝えるだけでなく、場の空気を読み、相手が何を聞きたいと思っているかを汲み取り、その場にふさわしい発言をする必要があります。しかし、その発言がかえって誤解を招いたり、認識にズレが生じたりすることもあります。ときには誤解をさけるためにあえてストレートな表現で伝える必要もあります。さらに相手の事情やバックグラウンドを考慮しなければなりません。
こうして考えると、スムーズなコミュニケーションをとることがいかに難しく、いかに多くの要素が複雑に絡み合っているのかを実感します。人の会話は本当に厄介なものだと改めて感じました。
しかしながら、言語によるコミュニケーションを行えるのは人間だけであり、世界中の人と意思疎通ができる手段をもっているのは人間だけです。こうした力が与えられているからこそ、それをどう使うか、どう向き合うかという課題が人間にだけ与えられているのかもしれないと考えさせられました。
この本を読み始める前は「〇〇ホルモンが分泌されるとこういう行動をとる」といった脳科学の説明が中心かと思っていました。ですが読み進めていくうちに、著者が書きたいことを書いているという印象を強く受けました(あとがきにもそのように書かれていました)。脳科学の何かしらの観点からあえてこういう書き方をしているのではと疑って読み進めたことも最後にお伝えしておきます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
タスキーグループ/税務支援チーム
新妻 大作
参照:脳の闇/中野 信子