第401回 日本の税金 第3版/三木 義一

こんにちは。タスキーグループの菊池です。
2025年最後の投稿を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。

トリのテーマとしては少し重たいかもしれませんが、会計事務所らしく、今回は「税金」をテーマにした一冊を取り上げたいと思います。

本書はタイトルの通り、日本の税制の成り立ちや全体像を分かりやすく整理しているだけでなく、税金という仕組みの本質や課題についても触れられており、色々と考えさせられる内容となっています。

12月は年末調整の時期でもあることから、今回は本書の中でも「所得税」の章を取り上げたいと思います。

突然ですが、皆さんは「自分が毎年いくら税金を納めているか」を、すぐに答えられるでしょうか。
パッと答えられる方は、意外と多くないのではないかと思います。

その背景には、日本の給与所得に関する制度設計――源泉徴収や年末調整、確定申告不要制度――が大きく関係しています。
毎年12月に行われる「年末調整」は、本来は個人が行うべき所得税の計算を、会社が代わりに行う制度です。
(実務上は会計事務所が代行することも多く、12月が会計事務所の繁忙期である理由のひとつでもあります。)

いわゆるサラリーマンと呼ばれる方々は、こうした仕組みのもと、自ら税額を計算・納付するというプロセスを経験する機会が少ないため、日常生活の中で税金を意識しにくいと言われています。

こうした状況を踏まえ、本書では次のような提言がなされており、印象に残りました。

・サラリーマンについて、法定の給与所得控除に代えて、給与に対応する支出を幅広く必要経費として認め、実額控除を選択できるようにしてはどうか。そうすれば、サラリーマンの納税者としての意識も大きく変わってくる。
・所得税納税者の大多数を占めるサラリーマンが、税の「痛み」を生み出している仕組みを理解し、納税者として自らの意見を持たなければ、所得税の公平化は進まない。

税金は本来、自分たちの社会を自分たちで運営していくための拠出金です。
そのため、税金を「いくら払うか」「何に使うか」についても、「お上が決めること」と捉えるのではなく、「自分たちの問題」として考える視点が大切なのだと思います。

税理士として日々制度に向き合っていると、どうしても「正解」や「手続き」に目が向きがちですが、その手前にある“考えること”の大切さを、改めて感じさせてくれる一冊でした。
年末の落ち着いた時間に、気になるところから気軽に読んでみるのもおすすめです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは皆さま、良いお年をお迎えください!!

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菊池 友博

菊池 友博

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