こんにちは!タスキーグループ経理支援チームの箭子優羽です。
今回ご紹介する本は東畑開人の「こころはどこへ消えた?」という本です。
「それで飯は食えるのか?」「コスパは?」「エビデンスは?」 現代社会は、そんな「正論」という名の大きな物語に埋め尽くされています。ビジネス書を開けば「こうすれば幸せになれる」「こうするのが正しい!」という最短ルートが示されている。けれど、私たちの現実はもっと複雑で、もっと割り切れないはずです。
本作は、効率化・数値化の波に消されかけた「私たちの小さなこころ」を、もう一度見つけ出すための入り口となる一冊です。
作者の東畑開人さんは実際にカウンセリングなどを行っている臨床心理士ですが、同時に多数のエッセイ・小説を出版されている方です。本作は、作者が日々向き合う「こころの揺れ動く瞬間」を、週刊誌で1年間に渡り連載したエッセイ集になります。
作者は、この本を日常生活から離れて、心の世界を思い出す入り口だと話しています。
その入り口の話の先にあるのは「変身」です。
分かりやすいのは「トイレ侍とウンコ男」というエッセイです。
なんだこのタイトルは!と思うかもしれませんが、
プレイセラピーという遊びを通して行うカウンセリングで、母を病気で亡くした少年が「トイレ侍」に変身して遊ぶことで、最終的に少しづつ母の喪失を受け入れていくお話です。
母を亡くした時期とトイレのトレーニングをしていた時期が重なり、自分がうまくトイレをできなかったせいで母がいなくなったと考えてしまっているようでした。
東畑さんを「ウンコ男」に見立てて斬り続けることで自分を攻めていると同時に、これは母の急死というつらい現実を、少しづつ受け入れる儀式とも言えます。
このような変化・こころが揺れ動く瞬間がいくつも書かれている本です。
世の中にあふれている「正しい」言葉は、個人の、ささやかな悲しみや、つらさ、という「小さな物語」をのみこんでしまいます。
「個別に対応してもらわないと、どうしようもないこと」そんな言葉にならないもどかしさと向き合い、一人ひとりのプライベートな感情を、決して否定することなく丁寧に拾い上げてくれます。
フィクションではなく、実際に誰かが感じて吐き出したことや、少しづつでも前を向くことができた現実が書かれているからこそ、胸にくるものがある本でした!
一方で、連載中盤で登場する「書くことがないよ!」と嘆いている東畑さんの嘆きも、個人的な面白ポイントになっております。
日常生活から離れて、心の世界を思い出してみてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
タスキーグループ経理支援チーム 箭子優羽




