こんにちは!サクセスエール税理士法人の青谷麻容子です。
今回は、人材難の代名詞でもある飲食業界において、就職希望者が相次ぐ大阪のフレンチレストラン「ル・クロ」のオーナーシェフ、黒岩功氏の著書をご紹介いたします。
飲食業界で働く人は、数か月~数年単位で職場を転々とするのが一般的です。それは、経営者側からすれば、永遠の悩みのタネとされてきました。新人を一から育ててもいずれ辞めてしまい、常に人材難に苦しむという問題を構造的に抱えているのです。
それが、一度は会社に見切りをつけて次の組織に移ったはずなのに、半年~3年の間に辞めた社員の半数近くが「またここで、あなたの元で働かせてください」と復職を希望する会社があります。それが、黒岩功氏がオーナーシェフを務める、関西の名店「ル・クロ」です。
そう言って戻ってきた社員たちは、以前にも増してル・クロを愛し、若い社員たちを引っ張る存在として活躍しているそうです。
では、なぜ、一度辞めた社員がまた戻ってきたくなるのか。
ル・クロでは、すべての社員が、お金以上の価値を感じながら日々働いています。スタッフの誰一人として手抜きをせず、お客様のために心を尽くす。そして、お客様のために尽くしたいという思いが絆となって、スタッフたちを強く結びつけている。
だから、社員は皆生き生きと働き、またそんな環境に魅力を感じて、人が入ってくるのです。
これは、黒岩氏が「お金以上の仕事の対価」を社員に気づかせる環境づくりをしているからです。
黒岩氏は幼いころからコンプレックスを抱えて生きてきました。それがあるきっかけで変わっていきます。自らの体験から「コンプレックスを持つ人間ほど自分の成長を強く求めている」と言います。だからこそ、そんな彼らがコンプレックスを解消できる環境を用意し、自信を持たせ、仕事の中で成長していく喜びを味わう経験をさせているのだと思います。
以前、黒岩氏にお会いしたとき、太陽のように明るく、さわやかな風のような方だという印象でしたが、本書を読んで、そんなコンプレックスをお持ちだったことは意外でした。
悲しみや苦しみを自らの力で乗り越え、道を切り開いてきたからこその、あの笑顔だなと今思います。
人を育てていく立場として、大変勉強になる一冊です。
サクセスエール税理士法人 公認会計士 青谷麻容子