働き方の曲がり角

サクセスエール税理士法人

ルール先行「働き方改革」本来の目的は何処に

日本は、少子高齢化によって働き手が減少するとともに働き手の価値観の多様化に直面しています。この状況に対応するため、投資(事業の見直し)やイノベーション(業務改善)によって生産性を向上させ、かつ、多くの人が働きやすく一人ひとりが強みを発揮できる働き甲斐ある環境の整備が課題となっています。

国はこの課題の解決のため、社員の置かれた個々の事情に応じ多様な働き方を選択でき、社員一人ひとりが将来に希望を持てる会社づくりを経営者に期待しています。これが「働き方改革」の趣旨です。残業時間の削減や有給休暇の消化は手段であり目的ではないことは明らかです。

「GDP=労働力人口×一人あたり労働時間×生産性」
この算式をみても、経済の維持は働き手の確保と生産性にかかっていることが分かります。企業にとっては、自社の事業内容や仕組みが世の中の流れに対応しているかどうかを見直すチャンスといえます。

特に人事制度は、大きな曲がり角にあります。日本的な雇用慣行である「メンバーシップ型(人に仕事をつける)雇用」は世界標準の「ジョブ型(仕事に人をつける)雇用」と対比され、以下のとおりデメリットが顕在化しています。
①職務範囲や責任が無限定のため長時間労働になりやすい
②不本意非正規労働者の増加
③中高年の人件費の増加(能力に見合わない賃金水準)
④中高年の再就職の困難性

また、転職市場が賑わっています。人生百年時代というように生涯労働時間が伸びる一方、企業の平均寿命は短縮していることからも必然のことではあります。若者も一つの企業で勤め上げるより転職しながらキャリアアップ・成長したいという志向性が強まっているため、従来の雇用慣行・人事制度の変質が迫られています。究極的には、「いつ辞めてもどこでも通用する人財が、辞めない組織」を目指すことが理想ではないでしょうか。

国も今後、法改正により、ヒト・カネの地方への流れを強化します。中小企業においてもSociety5.0やSDGsなどの社会の流れに対応しつつ、今後の経営の方向性、組織文化の在り方からスタートし、人財基準・採用基準・評価基準・給与設計をアップデートする時です。人を中心とした日本的慣行と多様性を認める世界標準のハイブリッド型の人事制度を如何に自社に落とし込めるかが企業戦略の中心といっても過言ではありません。

青谷 貴典

青谷 貴典

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