コロナ禍の残業規制

残業規則

新型コロナウイルス関連のニュースで持ち切りですが、ポストコロナ時代の経営戦略において考慮しなければならない労働規制がスタートしています。そして、テレワークが叫ばれ、多くの企業で業務プロセスの抜本的な再設計を迫られていますが、この時期に仕込めるか否かで今後大きな差が生じることとなるでしょう。

必要とされる人材の定義も大きく変化するでしょうが、いずれにしても経営者とっては、最低賃金上昇、パートの社会保険加入範囲の拡大、割増賃金率UPなどの法改正も相俟って人件費のさらなる高騰が見込まれます。

また、経営者と社員の関係性も変化しています。古き良き時代の日本的な労働観が変化し人間関係も希薄となった今、ビジネスとして未払残業代の請求代行をする弁護士や労働組合と団体交渉も手助けし、社員も「法的にもらえるものを請求するのは当然の権利である。」と割り切って請求する時代といえます。

残業規制

今後の未払残業代の請求件数が急増するのに拍車をかけて、未払賃金の時効が2年から3年に延長となります。エポックメイキングな事件の報道により、多くの企業でサービス残業などが顕在化し、請求件数が急増することは容易に想像できます。労働裁判は経営者にとっては不利な戦いです。行政や裁判所は労働者の見方ですし、未払残業代のみならず付加金や損賠賠償金が上乗せされた多額の請求がなされます。

今後、行政官庁の調査も強化されるため、対応が遅れている企業は、現状把握とともに管理体制の見直しが急がれます。そして、早急に就業規則などの規程類の記載内容を見直すことで未然の防止策が何よりも肝要となります。

時間外労働の上限規制が2020年4月から既に中小企業においても適用されています。これまでは実質的に労使協定書(三六協定)を締結すれば上限なく時間外労働を行わせる事ができ、罰則による強制力もありませんでした。今後は以下に違反した場合、罰金が科されるおそれがあります。

一.時間外労働が年720時間以内

二.時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

三.時間外労働と休日労働の合計について、どの月から計算しても2~6か月平均が全て1ヵ月あたり80時間以内

四.時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

残業規制

これは社員一人ひとりについての規制ですので、社員別に時間外労働時間の多い人ランキングを付け、対策を講じるといった管理が必要となります。これは毎月の管理となりますが、冒頭でも記した通り、この強制的なガラガラポンの時代に業務プロセスを本質的に変化させ前提条件を書き換えるということも同時に考えなければなりません。私たちも自らを旧態化させ、変化を我がものとして参りたいと思います。

タスキー税理士法人 代表社員
税理士・公認会計士 青谷貴典

青谷 貴典

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