第177回 ごはんのことばかり100話とちょっと/よしもとばなな

ごはんのことばかり100話とちょっと_表紙
こんにちは、佐藤美友です。
つい先日、冬から春を飛ばして夏になったと思ったのですが、もう冬ですか…。
マスク生活が染みついているとはいえ油断なりません。
お風邪など召されませんよう、どうかご自愛くださいませ。

さて、今回は読んでいるとお腹が空いてきてしまうような、こちらの一冊。

『ごはんのことばかり100話とちょっと』 著・よしもとばなな

タイトルのとおり、ごはんにまつわるお話が100話とちょっと収録されたエッセイ集です。
毎日の食事、行きつけのお店、それにまつわる人々との日常が、彼女の言葉で大切に丁寧に綴られています。
この本が最初に発行されたのは、食事の在り方がコロナによってガラリと変わった昨今よりもう10年以上も前のことですから、食事を愛し楽しむような景色が浮かぶたび、ああ懐かしいと感じてしまいました。
全てが食一色。食と彼女を取り巻く人たちに対する愛が無ければ書くことができない一冊です。

話は変わりますが、エッセイを紹介するとなった際、どこがオススメかを明確に説明するのはなんとも難しいところです。
どの部分が刺さるかは人それぞれではあるものの、「誰かの何気ない日常とその価値観を形成したものに触れることができる」ところが、私は好きなのだと思います。
どんな本でも、思想に共感できないことはあるし、説明に納得できないこともあります。
随筆は理解を強要しないし、学びを押し付けない。
だからこそ得る価値観があり、ふとした瞬間に「あの文章が表したかったのはこのことかもしれない」と腑に落ちることがあるような気がします。
自分の凝り固まった価値観だけでは味わうことができないその瞬間をたくさん味わうためのインプットしているのだなあ、と最近は特に思うようになりました。

ここ数年、仕事終わりに大きな本屋さんにふらりと立ち寄り、参考書から詩集までコーナーをぐるりと回り、気になっていた本とその時に目に留まった本を数冊買う、ということを気まぐれにしています。
この本を手に取ったのは、欲しかった料理研究家・土井善晴先生の文庫本の横にポツンと一冊、裏返して置いてあったから。
ひっくり返してぱらぱらとめくればごはんのことばかり。ただただ読みたくなりました。
本を選ぶって、このくらい些細なきっかけでも良いと思うのです。

素敵なエッセイを読んだので、随筆風にご紹介。
歳末のご多忙の折、戯れにお付き合いいただき、ありがとうございました。

タスキー税理士法人
佐藤 美友

参照:ごはんのことばかり100話とちょっと/よしもとばなな
佐藤 美友

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