第218回 人間・この劇的なるもの/福田 恆存

こんにちは!
タスキー税理士法人の上野です。

今回ご紹介する本は、『人間・この劇的なるもの』(福田恆存著)です。

本書の大きなテーマは、「自由」です。
「自由」と聞いて、皆さんは何を想像するでしょうか?

時間にとらわれない自由、お金に困らない自由。
今日では、「自分らしい自由な働き方」というように、多様性を尊重する意味で使われることも多いと思います。

一方、本書では、自由について次のように注意を促します。
「今日におけるほど、自由ということばが、安易に用いられている時代はない。」
「自由の名において、ひとびとは、求めていたのはなく、逃げていただけのことである。」

なんとも厳しい指摘です。
私たちは、規則が煩わしい、義務に縛られたくないときに「自由になりたい」と思うときがあります。

しかし著書は、このような「逃避のための自由」に苦言を呈しており、
そんな自由を求めても幸せにはなれないよ、と仰っています。

では著書にとっての自由とは何か。それは「全体のなかにあって、適切な位置を占める能力」だと表現しています。
ここは理解が難しいポイントだと思います。

例えば、アニメやドラマで憧れの主人公がいたとします。
そうすると、私たちはこの主人公のようになりたいと思うときがあるわけです。
このような気持ちは、全くの自由ではありません。なぜなら「主人公のような」という制約が伴うからです。
しかし、この主人公のようになりたい、主人公のように振る舞わなければならないという生き方が、私たちに充実感を与えてくれます。
著書は、ただ自分のやりたいようにやれることが自由なのではなく、自分に限界を与えるような枠(=全体)を認め、その枠に合わせて振る舞うことこそが自由である、と先の言葉で表現したのです。

「自由」という言葉は一見とても輝かしく見えます。
一方でとても曖昧で、誤解しやすい言葉だと、改めて考させえられました。

もし本書に興味を持っていただけたら、是非手に取ってみてください。
ありがとうございました。

タスキー税理士法人
上野鎮

参照:人間・この劇的なるもの/福田 恆存
上野鎮

上野鎮

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