第320回 目の見えない人は世界をどう見ているのか/伊藤亜紗

こんにちは!タスキー株式会社の上野です。今回、ご紹介する本は『目の見えない人は世界をどう見ているのか』です。

私たちは、情報の8割以上を視覚から得ていると言われています。子供のころは視覚だけでなく、物を直接触ったり、口に運んだり、その他の感覚も使いながら世界を把握していきますが、大人になるにつれて、私たちは目で見るだけで多くのことを理解できるようになります。では、その視覚がなくなったとき、私たちは世界をどう捉えるのでしょうか?
本書は、目の見えない人がどのように世界を理解しているのか、その方法を探る内容になっています。

私たちはこの疑問を考えるとき、目をつぶって自分の視力が失われた状態を想像すると思います。しかし本書の目的は、そのような引き算のアプローチを理解することではありません。そもそも視覚のない状態で成立している世界の捉え方を理解することです。それは、例えば4本脚のイスと3本脚のイスの違いのようなものです。どちらのイスもグラつくことはありませんが、それぞれ違うバランスの取り方があり、自立しているのです。

では例えば、大阪万博で有名な太陽の塔について、皆さんはその塔にいくつの顔があると思いますか?(答えをご存じの方もいるかと思いますが)目の見える方は、計2つと答える方が多いでしょう。しかし、実際には塔の裏側にも1つの顔があり、合計で3つの顔がありますが、目の見えない方はそれを正確に答えることができるようです。

これは目で見て情報を得る私たちとは異なる、触覚を通じた理解の結果です。目の見えない方は、模型に手を当て、その形状から顔の数を数えるため、正確に3つと答えることができます。しかし、私たちは目で確認するため、どうしても1つの視点から物を観察せざるを得ません。このとき、常にその視点の裏側が存在するため、正確な情報を誤解してしまう場合があるのです。このように、視点にとらわれないという特徴によって、彼らは物事をより俯瞰的に把握することができ、私たちとは異なる方法で物や空間を捉えていることを示しています。

この本を通じて自分と他者を相対化することで、目の見えない人の世界の捉え方を学ぶだけでなく、自分自身の特徴や限界を理解する助けにもなると感じました。目の見えない方と接する機会が多い方、障がい者支援に関わる方だけでなく、幅広い方に手に取っていただきたい1冊です。
最後までご覧いただきありがとうございました。

タスキー株式会社
上野鎮

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上野鎮

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