こんにちは。タスキー税理士法人の青谷麻容子です。
仙台では9月になっても暑い日が続いていますが、夜になると聞こえてくる虫の声に秋の訪れを感じます。皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか。
さて、今回ご紹介する本は、マネーフォワードCEOの辻庸介社長の著書『失敗を語ろう。「わからないことだらけ」を突き進んだ僕らが学んだこと』です。
マネーフォワードが世に出てきた時、これは会計業界が大きく変わると思い、弊社もすぐにマネーフォワードを導入しました。しかし、弊社は高齢の税理士先生から事業承継したばかりで、お客様の高齢化も進んでおり、マネーフォワードをすぐに導入できるようなお客様はほとんどいない状況でした。
そんな中、当時すでに時の人となっていたマネーフォワードの辻社長が、わずか４名の小さな弊社に一人で来てくださり、我々の現場の声に熱心に耳を傾け、一生懸命メモを取っていらっしゃった姿は、今でもよく覚えています。
こんなに注目されている会社の社長さんなのに、お伴も付けず、まるで一営業マンのように、一人でリュックをしょってやってきて、ユーザーからのニーズを聞き出し、それを社内に持ち帰って伝えます。と言ってくださる。
会計事務所と力を合わせて、お客様によりよいサービスを提供していきたいという辻社長の熱い想いに大いに共感し、素直にマネーフォワードを応援したいという気持ちになりました。
辻社長のこのお人柄が多くの人に応援される所以だと思いますが、そのDNAは歴代のマネーフォワード担当者にも脈々と受け継がれている気がします。
あれから、ものすごいスピードでマネーフォワードは大きくなり、社員数は1300人に。今や会計業界にとどまらず、経済界にまで大きな影響を持つようになった辻社長は、傍から見れば順風満帆のようにも見えますが、その道のりは決して順調ではなかったようです。
スタートアップを立上げ、みんなに好きだった会社を辞めてもらってまでチャレンジして作ったプロダクトが惨敗。リリースから2，3か月でやめる決断をするに至ります。
その後も、会社がつぶれるんじゃないかという失敗を数多く経験されたそうです。
サービスが接続先からBAN（接続拒否）されたり、データセンター一帯の大停電で大事なユーザーのデータが吹っ飛びそうになったり、共に社会を変えていく仲間だと思っていた競合スタートアップに訴えられたり、60名の社員を迎えて立ち上げようとしたサービスは無期限の延期にせざるを得なかったり、改善のつもりでリニューアルしたサービスをたった1日で撤回したりと。
しかし、辻社長はこう仰います。
「人前で転ぶのは恥ずかしいかもしれない。しかし、だからこそ手を差し伸べてくれる人にも出会える。知恵を授かり、また一つ歩き方を学べるのだ。
僕をここまで導いてくれたかけがえのないもの。それは「仲間」だ。マネーフォワードの強みは何かと聞かれたら、迷わず「人」と「仲間が生み出す文化」だと即答する。僕の強みは、自分の弱さを補ってくれる仲間を集められることだ。」
もし万が一、致命的な大失敗をしてしまって会社が解散するような事態に陥ったとしても、「この仲間と失敗したんだったら、諦めがつく」そう信じられるだけのプロフェッショナルな仲間が、僕と一緒に働いてくれている。
大いに同感しながら目頭が熱くなりましたが、マネーフォワードの皆さんと接していて、マネーフォワードの強みは、本当に「人」だと感じます。
2017年、マネーフォワードは東京証券取引所のマザーズ市場に上場しましたが、目的地まで100分の1の距離も進んでないと仰います。
2012年、テクノロジーの力で日本の金融を前に進めようと、誰からも見向きもされないところから始まり、断られ、バカにされ、奥歯を噛みしめながら悔しい思いを沢山してきての今、辻社長は最後にこう記しています。
「失敗は挑戦した人にしか経験できない貴重な学びの経験だ。しかしそれは単なる失敗ではなく次の成功へのラーニングなのだ。これからも恐れることなく挑戦を続け、世の中を少しでも「Forward」できるよう、社会の役に立てるよう、全力を尽くしていきたい。
倒れるときは、前のめりだ。」
まだまだ暑い日が続きますが、皆様どうぞ健やかにお過ごしください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
タスキー税理士法人 公認会計士 青谷麻容子
