こんにちは!タスキーグループ経理支援チームの箭子優羽です。
今回私が紹介する『タイム・アフター・タイム』は、映画化でも大きな話題を呼んだ『国宝』の作者・吉田修一さんが発表された最新作です。建設会社に勤める尾崎楓が、高校の同級生と偶然再会したことをきっかけに、現在と、長崎や沖縄で過ごした高校時代が交錯しながら、20年前の初恋を思い出します。
特に印象に残っているのは、「自由とは恐怖心がないこと」で、何にもとらわれず目の前のことだけに集中できた過去の輝きが鮮やかに描かれていたことです。
高校時代の尾崎と久遠は、困難な状況から逃げ出して沖縄の離島で過ごします。
身内からも離れ、お金もなく、将来の保証もない状況で、本来ならば不安だらけのはずです。しかし、彼らはそこで二人で笑いながら日々を過ごします。 「明日どうなるか」という未来への恐怖心よりも、今この瞬間、大切な人と一緒にいられることに最大限の喜びを感じている姿が、圧倒的な輝きを放っています。
それに対し、大人になって再開した2人は、仕事上の責任や家庭の問題、癒えない心の傷など、様々な恐怖やしがらみを抱えて生きています。
現在と過去が交互に描かれることで、より、高校時代がまぶしく感じられます。
作中でも、自由とは恐怖心がないことだという話が出てきます。
私自身、時々、未来への不安や他人の目にとらわれて不自由を感じてしまいますが、目の前のことだけに集中できる時間が自由といえるなら、日常の中で好きなことに集中できる時間は、ほんの少しでも「自由」と言えるのではないかなと考えさせられました。
また、なぜ2人はこんなにまぶしい出来事があったにもかかわらず、別々の道を選ぶことになったのか、読み進めるうちにじわじわと分かってくるところも読み飽きない部分です。
読み終わった後のさみしさと大きな余韻はとてつもなく、じっくり読んでいただきたい作品です。
ちなみに、「Time After Time」は、シンディ・ローパーが1983年にリリースした世界的な大ヒット曲のタイトルとしても有名です。この曲と本の内容はリンクしているようで、本も曲もセットで楽しめました。
長編小説をお探しの方、シンディ・ローパーのTime After Timeを聞いたことがある方はぜひ手に取ってみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
タスキーグループ経理支援チーム 箭子優羽




