こんにちは!タスキーグループ経理支援チームの箭子優羽です。
今回ご紹介する本は、村上春樹さんの『夏帆―The Tale of KAHO―』です。
この本は、「正直言って、君みたいな醜い相手は初めてだよ」という、インパクトがある文章から始まります。
この出会いをきっかけに、主人公の夏帆の日常は大きく変わります。人間の言葉を話し、武蔵野境へ引っ越せと要求するアリクイや、包丁屋の店主の皮をかぶったジャガーが登場し、どこからが現実でどこからが非現実なのか分からない奇妙なファンタジーが繰り広げられます。
主人公の夏帆は、特段大きな悩みを抱えているわけでも、世界を救うような使命を背負っているわけでもありません。ジャンルとしてはファンタジー小説ですが、わくわくするような壮大な冒険が繰り広げられるわけではなく、どこにでもある静かな日常の隙間に、ひっそりと非日常が溶け込んでいくように物語が進んでいきます。
そして後半にかけて浮かび上がってくるのが、「母と娘」という切っても切り離せないテーマです。母親のことが昔から苦手だった夏帆ですが、シロアリの女王に母親が乗っ取られたことをきっかけに、初めて娘として母親と向き合うことになります。
出来事はまさにファンタジー小説という感じですが、母と初めて向き合った夏帆の心情描写は読み応えのあるものでした。
久しぶりにファンタジー作品を読んだこともあり、読み終わった直後は「どう感じればいいんだろう?」と不思議な余韻に包まれました。よくある物語のように、主人公が抱える問題がスッキリ解決して前向きにハッピーエンド!という分かりやすいストーリーではありません。現実と夢の境目がわからないほど曖昧で、「あの描写は一体何を表していたんだろう」と、これからの展開を想像する時間や、読み終わった後に意味やテーマについて思考する時間が長く続く独特な世界観でした。
みなさんには、読み終わったあとも静かに心に残り続けている「不思議な一冊」はありますか?
気になった方はぜひ手に取ってみてください。
タスキーグループ経理支援チーム 箭子 優羽




